- 第73回 こだわり通信
- 2009.8.10
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いつもありがとうございます。
酒類業界が大きく変わろうとしているこの時代、我々はどこに向かい、どのように戦って行ったら良いのか? そんなことを考えさせられることが多くなってきました。今までに思いもよらなかった問題や障害が自分たちの前に起こってきます。さあどうしましょうか?
こんな時代だからこそ目的を明確に、そして想いを強く持ち、失敗してもつまずいてもめげることなく、成功するまであきらめないでやり抜く、腹構え、腹をくくる勇気が必要になってきたのだと思います。
今回はそんな中、自分の尊敬する方の2つの詩を載せさせてもらいます。「困難」
一難さってまた一難
次から次へと神様が
試練を与えて下さる
でも解決できない問題は何一つ目の前には来ない
神様は誰にも等しく試練を投げかけてくれる
逃げるから答えが出ない
逃げるから大きくなっていく
答えは全て私の中にある「一度で駄目なら」
性根をすえてぶつかっても
簡単にはじき飛ばされてしまう
本気であればあるほど
自分の弱さを痛いほど気づかされる
しかしあきらめない
一度で駄目なら二度三度
ぶつかってぶつかって
そうやって自分の道をつくる弊社も皆様と共に問題に突進し、一緒に成長していく企業を目指しております。
柴田屋の理念柴田屋はお客様の成長と飲食業界の発展に貢献します 今後とも宜しくお願いいたします柴田屋酒店 柴健宏
- “KODAWARI”の良店紹介
「普通」であり続ける凄み
「プチ アーナ(PETIT ANNA)」 -
「プチアーナ」をネット検索すると、「普通」というキーワードがとても目に付きます。「普通の味です」とか、 「いつも凄く混んでいるから行ってみたけど普通の店だった」とか・・・・。私はこの普通を確かめたいと店長 の小村様お話を伺いました。
(この後敬称略)筆者:「プチアーナ」はどんなお店ですか?
小村:私がこの店を預かって10年になりますが、目指しているのはこの街、街に住む方々に根付くイタリアン ですね。そうするとトラッティリアでもないし、リストランテでもないのです。パスタ、ピッツァと気軽 に愉しめるワインになると思います。その上で料理だけでなく飽きられないお店を造ることができればと。
筆者:お客様の主だった利用の仕方ってありますか?
小村:昼は病院にお見舞いに来た方とか、もう歩いて来れるご近所の方が殆どですね。夜はご家族での食事や近 隣の会社ですか、ああ、でもオフィシャルな会社の宴会というのではなく、仲間同士の集まりが多いです。私が店を預かって10年ですので、あんなに小さな子だったのが大きくなってお友達同士で来るようになったり、世代をまたいで来てくださるのが本当に嬉しいですね。
筆者:何か、秘訣は?
小村:いえ、何にもありません。特別なことは何もしてませんよ。
10年コツコツとですね。目先の変化をしなかったからこそ、今でも毎日たくさんのお客様に来ていただけるのだと思います。
まあ、お客様のお顔とお名前を一致させるように私自身もスタッフも心がけていますが。夜はワインのサービス券をお出しして、お名前とご住所をいただいてDMは出すようにしています。個人名としては800世帯くらいのデータを持っていますね。あと何でしょうか、日替わりのお勧め料理はしています。料理長の仕事はもうこれだけって言っています。常連のお客様が殆どですからね、料理を楽しみにしてもらいたいです。ですので、仕入れも全部地元の八百屋さん、魚屋さんにしています。地元との関係を本当に大切にしたいので。淡々と、いや普通です。特別なことはしてませんと小村様はおっしゃいます。
しかし!きちんと重いくらいの建 築、45坪の割には席数が少ない、なんとスタッフの休憩室やロッカーに割いているそうです。会社の想いが感 じられます。スタッフは皆さん長い方ばかり。「普通」の凄みを感じました。「普通」を徹底して継続していく 力がどれほど大切か分かるお店です。
住 所 板橋区小豆沢3-5-4 電 話 03-3966-0916 定休日 年中無休(大晦日と三が日はお休み) 営業時間 11:00〜AM23:00(LO22:00・日祭日は21:00) 席 数 58席(30名位のパーティ対応可) 45坪 客単価 ランチ 880円 ディナー 2000円
いっぱい飲んで、食べてです。お客様応援室 出 和樹
【今月の目次】
・こだわりの良店紹介「プチ アーナ(PETIT ANNA)」
・「お客様応援室」より〜繁盛店を造る7
- 「お客様応援室」より~繁盛店を造る7
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こだわり通信愛読者の皆様こんにちは。新型インフルエンザに対しWHOがフェーズ6(パンデミック・世界的大流行)を宣言してから、この原稿が皆様のお手元に届くころはどんな様相になっているのでしょうか。今のところ日本では大騒ぎといった感じもなく。いつの間にか電車の中のマスク姿もいなくなった感じです。実際、罹患しても日本ではそれほど重症にはならないようですし、それほど心配する必要はないのかなと感じてはいますが、世界では死者が出ていることも事実であり、予防には気を使っていかなければいけないでしょう。私としては今の状況よりも秋以降、冬に向かって流行した時のことが心配です。地道に手洗いとうがいを忘れずに行ないましょう。
サービスとホスピタリティの違いをどういう言葉を使えば皆様にきちんと伝わるのか。ストンと心に落ちる表現ができたらいいのになあとよく考えてしまいます。 そもそもホスピタリティとは「誰かを喜ばせるために何かをすることが、純粋に嬉しいと思えること」だと思います。私にこの考え方を与え、気付かせてくれたダニーマイヤー氏(「おもてなしの天才」ダイヤモンド社)から引用させていただくとこんなキーワードになります。
○「相手に」なのか「相手のために」なのか
○サービスは「独り言」ホスピタリティは「会話」
○最高のできごとは「人々のために」起こるが、最悪のできごとは「人々に」降りかかる
いかがでしょうか。接客だけではありません。例えばディッシャー(洗い物)で例えると、自分の時間まで自分の仕事を決められた通りに行なうことがサービス。自分の後からシフトするスタッフのために、そのスタッフが仕事をしやすく準備して引き渡してあげようとすることがホスピタリティ。こんな感じでしょうか。ホスピタリティが溢れるお店は、お店のドアをくぐってすぐにお店に流れるエネルギーや優しい空気を感じられるはずです。そんなお店は「いかがでしたか」というスタッフからの問いかけに「美味しかったよ」ではなく、「また来るね」と答えていただけるはずです。お客様と最初に接触するスタッフがお客様からお店を守る門番なのかお店を代表する代理人なのか。ホスピタリティをみんなが持つことができれば、悪意のあるお客様を生むことはありません。こちらの良い態度がお客様の良い態度を生むのです。
そんなお店を生み出すためには何が必要なのでしょうか。問題のあるスタッフは「できない」のではなく「しない」なのです。ホスピタリティは真に心の問題です。スタッフがやり方やお店の決まりを教えられても生み出されるものではありません。「相手のために」という気持ちを常に持ち続けることができなければいけないのです。そのためには自分自身が「相手のために」という気持ちで思われていることが必要なのです。お店(会社)がお客様だけでなくスタッフ、お取引先、お店を取り巻く全ての方に対してホスピタリティを持たなければ、お客様のためだけになどという器用なことが人にはできません。お店(会社)が大きく開かれたホスピタリティを生み、持ち続け、そうであることが当たり前になることが絶対なのです。「開かれたホスピタリティ」 なんと素敵な言葉だと思いませんか。
前述しましたが、今回のテーマは私が一人で生み出したものではありません。ダニーマイヤーというニューヨークのレストランオーナーの著作を読み、来日された時の講演を聴き、ほんの短い時間でありましたが言葉をかけてもらい、彼の真摯で深く優しいまなざしに触れた時に、長く私の中でサービスとホスピタリティの間に横たわり続けた矛盾の解決の道を開いてくれました。是非、皆さんもご一読下さい。また、彼の提携しているレストランが六本木ミッドタウンに「ユニオンスクエアカフェ トーキョー」がありますので体感もできると思います。 以下次号
お客様応援室 KHM有限会社 出 和樹